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安産祈願と腹帯について|腹帯の種類・選び方・巻き方まで徹底解説します。

妊娠中は、新しい命を迎える喜びと同時に「母子ともに無事に出産できるだろうか」という不安もつきものです。
そんなとき心の支えになってくれる日本の伝統行事が 安産祈願 であり、そこで欠かせないアイテムとして古くから用いられてきたのが 腹帯(はらおび) です。
腹帯は“お腹を守り、赤ちゃんの成長を手助けする”と信じられ、戌の日に巻き始める風習が今も各地に残っています。

しかし一口に腹帯と言っても、昔ながらの晒(さらし)タイプから現代的なワンタッチタイプ、ガードル式まで種類はさまざま。「どれを選べばいいの?」「巻き方にルールはある?」と迷う妊婦さんも多いはずです。

本記事では、安産祈願と腹帯の基本を押さえつつ、種類ごとの特徴・選び方・巻き方までを網羅しています
これから安産祈願を予定している方はもちろん、すでに腹帯を準備中の方にも役立つ内容をわかりやすく解説していきます。

腹帯とは?基礎知識

腹帯の歴史と安産祈願との結びつき

腹帯の起源は奈良時代にさかのぼるといわれ、当初は貴族や武家の女性が「胎児を守る護符」として白布を巻いたのが始まりとされています。
江戸時代になると 戌(いぬ)の日に妊娠五ヶ月の女性が腹帯を締めると安産になる という風習が庶民にも広まりました。
犬は多産でお産が軽いとされるため、“戌の日”は安産祈願と結びつきやすかったのです。

現在でも多くの神社やお寺で戌の日に安産祈願を受けると、祈祷済みの腹帯や御札を授与される習わしが続いています。
腹帯は単なる布ではなく、「母子を守る祈り」「家族の幸福を願う思い」を形にした日本独自のマタニティアイテムなのです。

いつから着けるのが一般的か

現代の目安は「妊娠五ヶ月に入った最初の戌の日」ですが、医学的には**お腹のふくらみを感じ始める安定期(概ね16~20週ごろ)**から装着すれば十分とされています。
重要なのは「妊婦さんが無理なく巻けるタイミング」であり、体調が優れない日や猛暑・極寒の日は避けるのが賢明です。
また、病院によっては腹帯の着用について独自の指導があるため、健診時に医師や助産師に相談すると安心です。
妊婦健診の帰りにそのまま神社へ立ち寄り、祈祷を受けてから巻き始める人も増えています。

ポイント:形式よりも“母子の安全と快適さ”が最優先。戌の日を逃しても、体調の良い日にゆとりをもって巻き始めましょう。

腹帯の種類と特徴

腹帯は大きく 3 タイプ に分かれます。それぞれ構造や装着感が異なるため、ライフスタイルや体調に合わせて選ぶことが大切です。

伝統的な晒(さらし)タイプ

長さ約5〜6 m・幅約30 cmの綿布をお腹に巻き上げる昔ながらの方法です。巻き方さえ覚えればフィット感の調整が自由で、通気性にも優れています。いっぽうで巻く手順にコツが要り、動くとずれやすい点がデメリット。安産祈願で授与される腹帯の多くがこのタイプです。

現代的なワンタッチタイプ

帯状の生地に面ファスナー(マジックテープ)やホックが付き、装着が数秒で完了します。外出前のバタつく時間帯でも巻き直しやすく、妊娠後期の大きなお腹でも一人で着脱可能。サイズ調整の幅は晒より狭めなので、体形変化が大きい場合は買い替えを検討しましょう。

ガードル式タイプ

下着や補正ガードルのように下から履いてお腹と骨盤を包むタイプ。フィット性が高くズレにくいので、日中よく動き回る人や腰を支えたい人に人気です。ただし締め付けが強すぎると感じるケースもあるため、購入時に必ず試着して適正サイズを確認してください。

3 タイプのメリット・デメリット比較表

タイプ主なメリット主なデメリットこんな人におすすめ
晒(さらし)通気性が良い/締め具合を細かく調整できる/洗濯がラク巻き方に習熟が必要/ずれやすい伝統的な方法を大切にしたい/自宅で過ごす時間が長い
ワンタッチ着脱が簡単/外出先でも巻き直しやすい調整幅が狭い/体形変化によっては買い替え忙しい日常でも手早く巻きたい/初めて腹帯を使う
ガードル式ズレにくい/腰・骨盤をしっかりサポート締め付け感が強め/装着にやや手間動き回る仕事や家事が多い/腰痛対策を重視

選び方のコツ:まずは試着して着け心地を確認し、自分の生活リズムに無理なくフィットするタイプを選びましょう。

腹帯を選ぶ4つのポイント

妊娠期間は思いのほか長く、腹帯は毎日のように身につけるアイテム。だからこそ 「続けやすさ」 が最優先です。以下の4つをチェックすれば、自分に合った腹帯を絞り込みやすくなります。

1. 着け心地

腹帯は長時間巻くため、少しの違和感でもストレスにつながります。店頭で試着できる場合は、座る・立つ・軽く歩くなど動きを加えてフィット感を確認しましょう。苦しさがないか、腰や下腹部がしっかり支えられているかが選定の目安です。

2. 着脱のしやすさ

妊娠後期になると前屈姿勢がとりにくくなります。ワンタッチタイプのように数秒で留められる腹帯は外出前の時短に役立ちますが、巻き加減をこまめに調整したい人は晒タイプが便利。「忙しい朝でも自分一人で巻けるか」 を基準にすると失敗が少なくなります。

3. 肌への優しさ

妊娠中はホルモンバランスの変化で肌トラブルが増えがち。綿やシルク混など吸汗性・通気性の良い素材を選ぶとムレやかゆみを軽減できます。縫い目やタグの位置も要チェック。立体裁断で縫い代が外側にくる設計なら摩擦を感じにくく快適です。

4. お手入れのしやすさ

汗ばむ季節やマタニティヨガ後は腹帯を洗濯する機会が増えます。洗濯機OKか手洗い限定か、乾燥時間はどれくらいか を確認し、替え用を含めて複数本用意しておくと安心です。晒タイプは乾きやすく、ガードル式は厚手で乾きにくいなど素材による差も考慮しましょう。

ポイントまとめ

  • 「長時間着けても苦しくないか」を最優先に
  • 妊娠後期の着脱を具体的にイメージする
  • 素材・縫製が肌ストレスを減らすカギ
  • 洗い替えを含めたメンテナンス性も忘れずに

この4項目を基準に試着・比較すれば、日常に溶け込む“相棒腹帯”がきっと見つかります。

腹帯の正しい巻き方と着用期間

腹帯は「巻き方」と「着けるタイミング」を押さえることで、本来のサポート力と快適さを発揮します。ここでは 最も質問の多い晒(さらし)タイプの巻き方 を中心に、着用開始〜終了の目安、そして無理をしないためのセルフチェックをまとめました。

晒タイプの基本的な巻き方

準備物:腹帯(さらし)/腹巻きや薄手インナー(巻く前に着用すると肌ズレ防止に◎)

1.スタート位置を決める

晒の端を右腰のあたりに当て、内側に折り込んで固定。左手で端を押さえたまま巻き始めます。

2.下腹部を支えるように斜め下から上へ

おへその少し下を通る角度でさらしを斜め上へ持ち上げ、骨盤を包み込むイメージで一周。

3.2周目以降は少しずつ上へずらす

前の布が1/2〜1/3重なるようにずらしながら重ね巻き。苦しくない程度に軽く引き締めます。

4.みぞおちの手前でストップ

巻き終わりはみぞおち直下が目安。胸を圧迫しない位置で端を内側へ入れ込んで固定。

5.最終確認

しゃがんだり軽く歩いたりしてズレ・苦しさをチェック。違和感がなければ完了です。

コツ:最初にきつく巻きすぎないこと。一周ごとに軽く息を吸い、呼吸がラクか確認しながら巻くと失敗しにくいです。

着用を始める時期とやめどき

タイミング目安ポイント
着け始め妊娠5か月頃、最初の戌の日〜安定期(16〜20週)お腹がふくらみ始め、腰に負担が出る前にスタートすると効果的
着用期間妊娠5か月〜臨月直前日常生活でサポートを感じるうちは継続。長時間着けなくてもOK
やめどき臨月(妊娠9か月)前後/違和感や張りを感じたとき苦しさ・圧迫感を覚えたら即中止し、医師や助産師に相談

医学的には腹帯を巻かなければならない決まりはありません。「楽になる」「安心感がある」 と感じる間だけ続けるのが基本方針です。

無理をしないためのセルフチェック

  • 呼吸チェック:大きく息を吸ったとき胸やお腹が圧迫されていないか。
  • 循環チェック:巻いたあと10分ほど歩いてみて、脚や足先のしびれ・冷えがないか。
  • 皮膚チェック:就寝前に外して、発疹や赤み・かゆみが出ていないか確認。
  • 姿勢チェック:腰が反りすぎたり前かがみ姿勢になっていないか鏡で確認。

どれか一つでも「おかしいな」と感じたら巻き方やサイズを見直しましょう。
それでも改善しない場合は 無理をせず一度使用を中止し、健診時に専門家へ相談 することが大切です。

神社・お寺で授与される腹帯と市販品の違い

安産祈願を行うとき、「神社やお寺で授与される腹帯を使うべきか、それとも市販品で十分か」という声をよく耳にします。
両者は“祈祷の有無”だけでなく、素材・価格・デザインなど細部にも違いがあります。
ここではそれぞれの特徴と費用の目安を整理し、自分に合った選択ができるよう解説します。

授与腹帯(お祓い済み腹帯)の特徴と費用目安

  • ご祈祷済みの安心感
    神職や僧侶の祝詞・読経を受けた腹帯で、「母子の無事」を願う祈りが込められています。戌の日に参拝して授かる風習は“儀式としての重み”を大切にしたい人に支持されています。
  • ほとんどが晒タイプ
    白い晒(さらし)を用いたシンプルな布が多く、巻き加減を調節しやすいのが特徴。近年は巻きやすいワンタッチ式を用意する寺社もあります。
  • 授与品セットが付くことも
    腹帯のほかに安産守・御札・お神酒などが同封されるケースがあり、出産後のお礼参りで返納する流れまでセットで整っています。
  • 費用の目安3,000〜5,000円前後
    初穂料(祈祷料)に腹帯が含まれている場合と、別途「腹帯祈祷料」を納める場合があります。授与前に社務所で金額を確認しておくと安心です。

こんな人におすすめ:戌の日の伝統を重視したい/祈祷済みの腹帯で安心したい/授与品も一括でそろえたい

自分で用意する腹帯の選び方と費用目安

  • 種類とデザインが豊富
    さらし・ワンタッチ・ガードル式までバリエーションが多く、カラーや柄も自由。マタニティショップやネット通販で好みの1本を選べます。
  • 素材・機能を比較できる
    コットン100%で肌当たり重視、骨盤サポート機能付き、メッシュ素材で蒸れ対策——など目的別に選択肢が広がります。
  • 複数枚でローテーションしやすい
    洗い替え用をまとめ買いしやすく、汗ばむ季節や運動習慣がある妊婦さんには便利。
  • 費用の目安1,500〜4,000円程度
    さらしは比較的リーズナブル、機能性ガードル式は3,000円台が中心。複数枚買っても授与腹帯より高くつかないことも。
  • 祈祷を受ける方法もある
    市販品を神社に持参し、腹帯だけお祓いしてもらうことも可能(祓料は約1,000円〜)。「好みの腹帯」と「ご祈祷」を両立できます。

こんな人におすすめ:デザインや機能にこだわりたい/洗い替えを複数そろえたい/コストを抑えつつ必要なら祈祷も受けたい

最終的には「安心できるかどうか」が一番の選択基準。
授与腹帯を巻いている日に、市販のワンタッチ腹帯を予備として持ち歩くなど、両方を使い分けるスタイル も近年は定番です。ご自身と赤ちゃんが快適に過ごせる選択肢を探してみてください。

よくある質問(FAQ)

腹帯は毎日つけるべき?

医学的に「必ず毎日巻かなければならない」という決まりはありません。
腰やお腹が楽に感じる日は着用し、苦しさ・かゆみ・張りを覚えたら外してかまいません。
外出や長時間の立ち仕事など負担が大きい日だけ巻き、自宅で安静に過ごす日は外す――といった調整で問題ありません。

夏場の蒸れ対策は?

蒸れを防ぐコツは通気性の高い素材選びとこまめな着替えです。
綿ガーゼやメッシュ素材の腹帯を選び、腹帯の下に薄手のインナーを挟んで汗を吸わせると快適さがアップします。
汗が気になる日は替え帯を用意して昼休みやシャワー後に巻き替えるといいでしょう。
外出先では冷感スプレーや小さな保冷剤で体温を下げるのも効果的です。

2本目・3本目は必要?

洗い替えや用途別に考えると最低でも2本あると安心です。
汗をかく夏や運動習慣がある人は洗濯頻度が上がるため、速乾性のさらしとサポート力の高いガードル式をローテーションするなど、2〜3本そろえておくと清潔と快適さを保てます。

腹帯の上にコルセットをしてもいい?

基本的にはおすすめできません。
コルセットや強い補正下着は腹部を過度に圧迫し、血流を妨げる恐れがあります。
医療用サポーターなどを検討するときは必ず医師に相談し、使用可否と着用方法の指導を受けましょう。

就寝時も巻くべき?

就寝中はリラックスして血流を確保するため、腹帯は外すのが基本です。
ただし腰痛がひどい場合などは、軽く巻くか妊婦用抱き枕でサポートする方法もあります。
翌朝に体のこわばりや張りを感じるようなら、夜間の着用を中止し医師や助産師へ相談してください。

帝王切開予定でも腹帯は必要?

帝王切開の場合、腹帯は必須ではありません。ただし妊娠中の腰痛対策や安心感から使用する人もいます。
術後は創部を圧迫しないよう注意が必要なため、使用を続ける場合は医師の指示に従いましょう。

迷ったときは「快適さ」と「安全性」を基準に判断し、分からない点は健診時に医師や助産師へ相談するのが最も確実です。

まとめ

腹帯は、古来より「お腹を守り 母子の無事を願う祈り」をかたちにした日本独自のマタニティアイテムです。
今日では 伝統的な晒・ワンタッチ・ガードル式 と選択肢が広がり、着け心地やデザイン、サポート力まで自由に選べる時代になりました。

  • 戌の日の安産祈願 で授与腹帯をいただき、儀式としての安心感を得る
  • 市販の機能性腹帯 を洗い替え用にそろえ、季節やシーンで使い分ける
  • 医学的には「必ず毎日巻く」義務はなく、快適さを最優先 に続ける

この三つの視点をバランスよく取り入れれば、伝統と実用性の“いいとこ取り”ができます。
巻く時間帯や素材を工夫し、蒸れや締め付けを感じたら遠慮なく外す──そんな柔軟な運用こそが、長い妊娠期間をストレスフリーに過ごすコツです。

最後にもう一度強調したいのは、迷ったら必ず医師・助産師に相談すること
妊婦さんと赤ちゃんの体調は日々変化します。
「祈り」と「科学」の両輪でサポートを受けながら、自分らしいマタニティライフを楽しんでください。

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